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フルマラソンの練習メニューで走る距離や頻度は?
「今年こそはフルマラソンに出よう」
そう決めた後に練習なしで臨む人はいませんよね。
マラソン出場、そして完走を現実的なものにするためには、思い立ったそのときに練習メニューや計画までしっかりと落とし込んでおくことが大事です。
しかし、初心者にとってはどの程度の練習をこなせばよいのか、つまりどの程度のスピードでどのぐらいの距離を走るべきなのか、簡単には分かりませんよね。
ここでは、フルマラソンを目指す方が簡単に練習メニューを組み立てられるように解説をしています。
マラソンの何ヶ月前から始める?

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何ヶ月前から練習を始めるべきかという点は、個人の日常の運動量によってかなり異なってきます。
日々身体を動かして仕事をしている方や、マラソンでなくても定期的に運動を行っている方とまったく運動習慣がなかった方では同じメニューには出来ないですよね。
まったく運動習慣がない方の場合には、まずは身体を慣らすことが大事となってくるため、本格的なマラソンの練習の前に、ウォーキングや短時間のランニングなどからスタートすることが必要となります。
マラソンのための本格的な走り込みは遅くとも、レースの3ヶ月前にはスタートをする必要があります。
そのため、普段運動をしていない人は、4ヶ月〜5ヶ月前にはスタートをし始めて、徐々にトレーニングの運動強度を高めていく必要があります。
どのような練習を行うべきか?

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フルマラソンのための練習は大きく次の3つに分けられます。
①心肺機能を高める練習(短距離ダッシュに近いもの)
②長時間走って毛細血管の機能を向上させる練習(ウォーキングに近いゆったりとしたペースのもの)
③無理なく走れるペースを徐々に高める練習(ある程度のペースで一定の距離を走る練習)
この①〜③の練習を組み合わせてメニューを組んでいく必要があります。
また上述したように、普段はほとんど運動をしていないという方は、まずは30分〜1時間のウォーキングや軽いペースでのランニングなどから行っていく方がよいでしょう。
毎日ランニングを行うべきか
筋力トレーニングと違って、ランニングは毎日行っても問題ない、ということはよく言われていることです。
特に部活動などスポーツをされている方にとっては走るということはスポーツとしてのアクティビティの一環であり、問題ないと思いがちです。
しかし、長距離の練習は、筋力トレーニングと同様に足に大きな負担を掛けており、一日で筋力が回復しきれない場合もあります。
筋力トレーニングも筋肉を壊して、回復する過程で前以上の筋肉がつく、いわゆる「超回復」を通じて、筋肉が大きくなります。
負荷の大きい長距離を走るということもあくまで筋力トレーニングの一環と考えて、練習量との兼ね合いで毎日トレーニングを行うかどうかを決める必要があります。
個人の筋肉量や運動習慣によって異なると考えられますが、10km以上を走るトレーニングを行う場合には、毎日実施することはオーバートレーニングになりがちだと考えられます。
どの程度の距離を走るべきか

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では実際にどの程度の距離を走るべきなのか。
一つの指標になる月間走行距離はランナーによって大きく異なっています。
月に300km以上走りこむランニング大好きなランナーもいれば、月100km前後でじっくりとフルマラソンを完走出来るだけの体力を身につけるランナーもいます。
闇雲にとにかく距離を走れば良いというわけでもありません。
3つのメニューを適切に行い、自分の目標にあった距離を走ることが重要です。
また直前期にはやはり長距離の練習を増やして身体を慣らしておくなど、時期応じた調整も必要になってきます。
①心肺機能を高める練習

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まず長距離のマラソンであっても、長時間運動をし続けられるだけの心肺能力が必要となってきます。
心肺機能を鍛えることで、多くの酸素を身体に取り込み、吸収することが出来るため、疲労の原因となる乳酸を貯めづらくすることが出来ます。
心肺能力を高める最もメジャーな練習はインターバル走。
具体的には、「100m×10本」のようなメニューを数十秒から一分の休憩をはさみながら走り込みます。
経験をしたことがある方は分かりますが、インターバル走は非常に厳しいトレーニングです…。
いきなり、このトレーニングから始めてしまうと、あまりにもきつくて継続できないことになってしまうかもしれないので、まずは他のトレーニングでしっかりと継続する習慣が出来たうえで取り入れるのが良いかもしれません。
目安としては次のメニューとなります。
・100m×20本(インターバル30秒)
・200m×10本(インターバル30秒)
・500m×7本(インターバル1分)
・1000m×3本(インターバル1分)
インターバルのトレーニングにおいては、その距離を全力で走りきれるスピードで行うのがポイントです。
100mなら最大限のスピードで走ることが大事ですが、1000mとなると1本目でも全力で走り切るのは難しいですよね。
そのため1000mを走りきれる可能なかぎり速いスピードでこなすことが重要です。
また100m×5本と1000mを2本など、組み合わせて負荷を調節することも出来ます。
当然距離が長くなれば心肺機能への負荷も大きくなり、キツイトレーニングとなりますので、短い距離からスタートすることがおすすめです。
②毛細血管の機能を向上させるLSD

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心肺機能と合わせて、足の裏を中心とした毛細血管の機能を高める練習もフルマラソンに置いては非常に効果的です。
この練習はLSD(ロング・スロー・ディスタンス)と呼ばれ、ゆっくりとしたペースで1時間や2時間という長時間を走る練習です。
距離以上に走り続ける時間が大事となってきますので、途中で疲れてしまって走れなくならないように、無意識で走るランニングの8割ぐらいのペースでも十分です。
長時間走ることによって、運動により発生した乳酸を取り除くために、毛細血管が血を巡らせ続けなければいけなくなり、血管そのものが伸びたり、運べる血液量が増えると言われています。
LSDを行う場合には2時間を目安として、可能であれば3時間、4時間とチャレンジをしましょう。
ランナー初心者の場合にはフルマラソンを完走できる場合でも5〜6時間かかることが一般的です。
レース前には長時間の走行にならすためにも、LSDは必ず取り入れておきたいトレーニングです。
短距離を全力で走るインターバルトレーニングと対極にある練習メニューのため、交互に行うなどすることで蓄積する疲労もコントロールすることが出来ます。
関連記事:絶対知りたい!マラソン練習法 LSDのやり方と効果!初心者にもオススメ!
3.無理なく走れるペースを高める練習

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マラソンは一定のペースを保って走り続けることが大事です。
もちろん、レース終盤では徐々にペースが落ちてきてしまうことが多いですが、出来れば30km地点までは一定のスピードで走り続けられる体力をつけておきたいですね。
そのためには、無意識で走っても苦しくないスピード・ペースを高めておく必要があります。
インターバル走やLSDと比べると、ベーシックなトレーニングとなりますが、実際のマラソンを意識しながらトレーニングを行うことが大事になってきます。
現状の自分のペースを知り、目標タイムに合わせて計算をしていくことになるので、ランニングアプリなどを使って平均ペースを掴みながら行いましょう。
6時間での完走を目指すのであれば最低でも約7km以上の時速で走る必要があります(終盤の落ち込みを考慮するとそれ以上のペースが必要になります)
1kmあたりの平均ペースが10秒〜15秒あげるのも大変な作業のため、コツコツと努力を続けて、ペースの改善を目指していきましょう!
レース前に40km走るべきか

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フルマラソンのレース本番前に、擬似マラソンとして自分で40km走っておいたほうが良いのではと考えるランナーも多いと思います。
当然やらないよりはやっておいたほうが良いですが、40kmをひとりで走りきるというのは大変なことでもあり、途中で故障してしまう可能性も少なくないため、注意が必要です。
気をつけるべきは、1度だけ40kmを走るよりは、20〜30kmの練習を何度か行っておくことのほうが重要だということ。
長時間の走行に身体が慣れているということが大事のため、1度きりではなく定期的に行って基礎体力の向上を図っていく必要があります。
ハーフマラソンは有効なトレーニングか
フルマラソンの前に、練習を兼ねてハーフマラソンに出場する方も多いですよね。
ハーフマラソンは、20km強という距離にはなりますが、制限時間が通常はフルマラソンよりも早いペースで設定されるため、通常の長距離の練習よりは早めのピッチで走りきる必要があります。
そのため、心肺機能への負荷という意味では、フルマラソンよりも大きい場合もありますが、折り返しである「20kmを○時間で走れた」という感覚は、長い42kmの完走を目指すうえでは心強い経験となります。
ただし、上記の通り、ハーフマラソンとフルマラソンでは走り方が大きく異なりますが、ハーフマラソンの練習を特別にする必要はなく、あくまでフルマラソンの練習を行っていた上で、早めのピッチで本番は走ってみるという程度の位置づけで十分ではないでしょうか。
マラソンの出場前には目標タイムを設定
出来れば練習の時点から最終的に完走したい目標タイムを定めるとよりゴールが明確になります。
初めてのフルマラソンであれば、「完走する」という目標も非常に大きな目標かもしれませんが、「何時間で完走する」というところまで具体化できると、逆算して10km, 5km, 1kmで目指すべきペースが決まってきます。
序盤は極力早く走り、後半は体力に任せて可能な限り早く(逆に言うとだめな場合には気にせずスピードを緩める)という走り方はやはり体力の消耗が大きいとともに、精神的な負荷も重いと考えられる走り方です。
「6時間」はひとつの目安として初心者のランナーが設定することが多い目標ですので、まずは6時間での完走を目指してみましょう。あるいは多くの大会では制限時間が設定されていますので、その制限時間からマイナス○時間、という設定方法でも良いかもしれませんね。