マラソン・長距離走・持久走で疲れない走り方
フルマラソンなどに出場を目指しているランナーであれば、いかに体力を使わないで走るかは極めて重要な課題です。
短時間ではわずかな負担であっても、42.195kmを走りきるためには、4時間以上は同じ動作をし続ける必要があります。
日常生活においては、同じ動作を4時間続けるということは通常起こることはなく、人間の身体もそれに耐えられるような作りにはなっていないはず。
またフルマラソンまでいかずとも、学校などでは長距離走や持久走が授業の中やマラソン大会として行われてることもあり、マラソンが好きではない人にとっても非常に大事になることもありますね。
特に普段スポーツをしていない人が長距離走や持久走を行う場合には、下半身の筋肉と心肺機能の両方に負担が大きくかかるため、少しのランニングフォームの違いでも大きな差となってきます。
ここではマラソン・長距離走・持久走を控えるランナーが、体力を温存してレースを乗り切るために知っておきたいポイントをまとめています。
体力を使わないランニングフォーム

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そもそも疲れないランニングフォームとは何でしょうか。
それは余計な体力を使わずに、余計な負担をかけずにかつ最大限のスピードで進める走り方です。
重要なのはスピードとの兼ね合いを考えること。
時間を気にせずに最も距離を移動するための方法であれば、身体に負担が少ないウォーキングが最も適していることは言うまでもありません。
しかし、ここではあくまでもマラソンや長距離走、持久走で自分のタイムを上げられる最も負担の少ない走り方としてご紹介をしていきます。
1.ストレッチを行う

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まず大前提ですが、長距離を走る前にはストレッチや体操を行いましょう。
ランニングは他のスポーツのウォーミングアップで用いられることもあり、「走る」という運動の前にはウォーキングアップや体操を行わないランナーも少なくありません。
しかし、運動前にしっかりと体を温めておくことは、身体の心肺機能や筋肉を効率よく使うために必要なことのため、体に負担が大きい長距離走を行う前には5〜10分はストレッチをしておきます。
もちろん、マラソンで起きやすいアキレス腱や膝の怪我を防止する意味もあるため、ストレッチを甘く見てはいけません。
関連記事:マラソン・ランニングでアキレス腱の痛み?怪我の原因・対策とフォーム改善
2.足の着地点

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まずもっとも重要なのは、足の着地点を意識すること。
マラソンや長距離走では体重移動を上手く使いながら走れるかどうかが分かれ目と言っても過言ではありません。
その体重移動が始まる起点となるのが、脚を動かして前に出した後の着地のポイント。
この着地点は必ず「身体の中心・重心の下」で行うことが重要です。
身体の重心の下で着地をして、そのまま自然な流れで足を後ろに流す走り方が最も余計な体力を使わずに体重移動を行うことが出来ます。
身体の重心よりも前で着地をしてしまうと、前足の力で身体を前に動かすことになります。
このときに、前足の太ももとふくらはぎの筋肉には過大な負担がかかります。
短い距離を出来るだけ速く走るときには身体を前に引っ張るためにこれらの太ももやふくらはぎの筋肉で押し出しながら走ることが必要です。
しかし、長い距離のレースの場合には、このような走り方では最後まで足の筋肉で運ぶことが出来ず、逆効果となってしまいます。
また身体よりも後ろで着地をすることもスムーズな体重移動を妨げることになってしまいます。
3.脚の着地方法

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足の着地点と同時に、着地の仕方も重要です。
着地するための足をピンと伸ばした状態で着地をしてしまうと、前に動こうとする流れにブレーキを掛けてしまうことになります。
またこの着地の仕方は膝にも体重がダイレクトに伝わってしまうため、怪我の面からも非常に危ない走り方となります。
足を伸ばして棒のように着地をすることで、骨の力を利用して筋肉への負担を減らすことが出来るということをいう人もいます。
しかし実際には、一度身体の流れを止めた上で、再度身体を動かすため、下半身には余計な負担がかかり続けてしまいます。
そのため、やや膝を曲げた状態で、身体を受け止めるイメージで体の重心の真下に着地をするようにしましょう。
4.背筋をまっすぐに維持する

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長距離のマラソンや持久走を走るときには必ず背筋をまっすぐに伸ばして、スタートしましょう。
背筋が丸まった状態で走り続けることは、上半身の筋肉のみならず、内部の器官への負担をかけてしまうことになります。
マラソンランナーや駅伝の選手はみな非常にキレイな姿勢で走り続けていますよね。
長距離選手の場合には、下半身の筋肉や腹筋と合わせて、姿勢を維持するための背筋も大事となってきます。
また走り始めは背筋を維持できていたとしても、マラソンの中で徐々に背筋が疲れてきて、背筋を伸ばしながら走りつづけることが困難になってきます。
そのため、余裕があれば事前にしっかりと鍛えておきたいですね。
初めてフルマラソンに出場したランナーや、日頃運動をしていない学生の方が長距離走に出たときに、下半身の筋肉や心肺機能よりも背筋が疲れて痛くなってくるというのもよく聞く話ですよね。
5.骨盤を意識する

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背筋を伸ばすことにもつながりますが、骨盤を高く維持することが効率よく下半身を動かすことが出来るコツです。
通常の生活の中で骨盤が前傾で姿勢が良い人は、それだけで体力を使いにくい、つまり疲れにくい走り方のフォームを身に着けているともいえます。
骨盤を前傾して、背筋を伸ばしながら走ってみると、脚を前後に動かすときに非常にスムーズに行うことが出来ることを実感できるはずです。
しかし、この姿勢を維持することそのものが簡単ではありませんので、長距離走や持久走、もちろんマラソンの練習の中ではこの動きを意識するようにしましょう。
6.前傾姿勢を維持する
走るときには体の重心が前に傾いて、前傾姿勢を維持することが効率よく体重移動を行うポイントです。
ただし、前に身体を向けようとしすぎると、猫背となってしまい、背筋が丸まることにつながりません。
そのため、意識の上では背筋をピンと伸ばすイメージでいながらも、体重は太もものあたりで感じながら、重心を少しだけ前に置く程度のイメージで十分です。
7.かかとから着地をする

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足の着地方法で、かかとから入るべきか、つま先から入るべきかというのは長い間議論のあるポイントでした。
しかし、最近ではかかとから着地をして、自然なストロークの中で足を後ろに動かして、最後はかかとから地面を離れていくというのが最も効率が良いと言われています。
つま先から着地をしてしまうと、足の着地点にかかわらず、前に出ようとする身体の動きにブレーキをかけることにつながってしまいます。
またふくらはぎの筋肉や脛の内側の筋にも負担をかけやすく、長時間そのような走り方で運動を行うことは怪我にもつながりやすくなってしまいます。
そのため、長距離や持久走においてはかかとから着地をすることを意識して走るようにしましょう。
8.腕を効果的に振る

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腕の振り方も非常に重要なポイントです。
効果的に腕を使うことで、早く走ることが出来るようになります。
まずは無駄な振りを少なくすることがもっとも重要です。
身体の脇に腕を備えて、肩の動きを最小限にして、走ることが大事です。
肩の動きは小さくしますが、まったく動かないように固定してしまうのも、また体力消費の点からはマイナスとなってしまいます。
走るときには、身体は左右にねじりの動作を入れながら進んでいきます。
出した足のとは逆方向(右足を出すときには上半身は左方法)へ捻りを使って身体を効率よくバランスを取りながら進んでいきます。
肩を全く固定してしまうと、この捻じりの力を上手く使えなくなってしまいます。
9.疲れた時には腕を振る

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上述の通り、長距離を走るときには肩を極力動かさないようにするのが原則です。
しかし、下半身が疲れてきたときには逆に腕をふることを意識しましょう。
下半身が疲れてした後に無理やり足を動かす意識を持つと全身のバランスが崩れて余計に体力を使ってしまいます。
そのため、あまり疲れていない上半身を上手く使うことで、効果的に足を動かすことが出来ます。
ねじりながら進むため、手を振れば自然と足は前に出ることになります。
マラソンや長距離走の終盤など、辛いときには、「腕を振る」ということを意識して動かすようにしましょう。
10.自分にあった足の幅で

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脚をどの程度まで開いて走るかはマラソンの歴史の中でも常々話題となることです。
新しい走り方で新記録を樹立するような選手が出た場合には、新規のマラソン理論として、新走法がメディアでも紹介されることがしばしばありますね。
現在では、ストライド走法とピッチ走法と呼ばれる2つの走り方が主流となっています。
ストライド走法とは足を大股で開いて走りながら、一歩の距離を稼ぐための走り方です。
手足の長い選手や身長の高い外国人選手などに多い走り方と言われています。
一方でピッチ走法とは、足をあまり前後に開かずに、小刻みに動かして、足の回転数を上げる走り方です。
最近ではピッチ走法を選ぶアスリートが多いと言われており、素人ランナーにとってもピッチ走法のほうが疲れにくい走り方です。
ピッチ走法の場合には、足の着地点は上述の通り、体の重心の真下を意識して、身体より後ろで脚をくるくると小刻みに回しながら走るイメージとなります。
ストライド走法の場合には歩幅を大きく撮るため、やや足の着地点が前となり、難しい走法となります。
11.事前の水分補給を十分に

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長距離走や持久走の場合には、途中の水分補給が難しい場合が一般的です。
マラソンにおいても、飲みたいときに給水所があるかどうかは分かりません。
そのため、走り始める前には水分補給を十分に行っておきましょう。
喉が渇いたと感じるときにはすでに脱水症状が始まっており、身体に疲労が溜まり始めています。
体力をフルに使って疲れにくい走り方を目指す方は必ずこのポイントを押さえておくようにしましょう。
目安としては、コップ2杯分などやや多いかなと思うぐらいに水分をとっておくのが理想的です。
12.栄養サプリを事前に補給

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持久走や長距離走の場合には、走っている最中に徐々に体の中のエネルギーが燃やされて使われてしまうため、徐々に足りなくなってきます。
走る前には水分補給をするとともに、アミノバイタルのような吸収しやすいアミノ酸のサプリメントをとることをオススメします。
フルマラソンのような場合には、走る前だけでは足りないため、走りながら定期的に取るようにしましょう。
喉が渇いたと感じてからでは水分補給が遅いように、疲れたと感じてからエネルギーを補給しても遅いため、早め早めにとっておくのが理想的です。
13.呼吸のリズムを知る

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長距離・持久走では心肺機能にも大きな負担がかかるため、呼吸法も意識をすることで楽に走ることが出来ます。
呼吸法としては、自分のリズムをしっかりと覚えて最も楽な呼吸の仕方を身に付けておきましょう。
「すー(吸う)、すー、はぁ(吐く)」、あるいは「すー、はぁ、すー、はぁ」など呼吸がしやすいリズムは人それぞれです。
事前の練習の中では、一体呼吸がしやすいリズムは何なのか、しっかりと押さえておきましょう。
リズムがずれると、無酸素状態で、走る時間が長くなってしまいます。
無酸素状態で身体を動かし続けることは、筋肉の中に乳酸が溜まりやすくなってしまい、疲れやすくなってしまいます。
呼吸の仕方は個人差が大きいため、一律のベストな方法は難しいですが、一般的には一度に空気を吸い過ぎない方が体力消費が少ないと言われています。
更に疲れにくい体を作るために
これまでは走る前後の運動や走り方にフォーカスをあてて見てきましたが、疲れにくい体を作るためには、走りこみと合わせて、マラソンに必要な筋力トレーニングを行い、筋力そのものを強くすることも重要です。
スクワットをはじめとした下半身のみならず、背筋・腹筋など体の軸となり全体の姿勢を支える体幹の筋肉を鍛えると、走っている最中のブレがなくなり、体全身を効果的に使うことにもつながります。
走りこみを行うことや正しいフォームで走ることが一番重要ですが、気分転換もかねて筋力トレーニングも取り入れて、効果的・効率的にトレーニングを行って生きたいですね。
番外編:疲れを忘れるために
番外編ですが、走っている最中に疲れを極力意識しないというのも重要かもしれません。有名なマラソンランナーの方は「30kmまでは寝ている」と話しており、フルマラソンを行うときでも以下に精神的に省エネで走っているかがわかります。
もちろん、それは圧倒的な走りこみの量に裏打ちされてルーティンと化したところまで至っているからであり、誰しもが真似できるものではありません。
しかし、疲れを意識しないために音楽を聴く、景色を楽しむ、練習でも普段と違うところを走ってみるなど、精神的に負担を減らすことが出来ると、より楽しんで走ることが継続でき、ひいては練習量の増加、体力の向上につながるかもしれませんね。
まとめ
1.ストレッチを行う
2.身体の真下で着地
3.足を少し曲げて着地
4.背筋をまっすぐに
5.骨盤を意識
6.前傾姿勢を維持
7.かかとから着地
8.腕の動きを最小限に
9.疲れた時には腕を振る
10.適切な足の幅で走る
11.事前の水分補給を十分に
12.エネルギーを貯めておく
13.自分の呼吸のリズムを知る